救急車呼ばないで

先日、Lower East SideDJがあり向かっている途中、駅のホームで倒れている黒人のおじさんを見かけました。


倒れているというよりも明らかに酔っ払って、なんならちょっと気持ち良さそうに寝ているといった感じでした。


日本にも良くいるこんなおじさん。


そんなおじさんを発見した40代くらいの白人の夫婦が「大丈夫ですか?」と言って声をかけ、おじさんを起こそうとしている。おじさんは、手を引っ張られて起こされては、またゴロン、起こされてはまたゴロンを繰り返してました。


僕は、「このおじさん、酔っ払ってるの?」と言うと奥さんの方が「そうっぽいけどホームから落ちちゃったらマズイから。。」と言いました。


確かに。皆でおじさんを真ん中の方にズラしてみるのですが、またゴロン。


「とりあえず駅の人誰か呼べば?」

と僕がいうと、今度は旦那さんの方が


「もう連絡しました。911にも電話した。」


と言いました。


僕はてっきり警察官が来て、「ほら、起きなさい」みたいな感じで諭されて終わるのかと思っていました。

でもこの旦那さんが呼んだのは警察官ではなく救急隊員で、タンカを持ってこられてしまいました。




アメリカには移民や貧乏な人達など”保険に入っていない”人達が沢山います。

以前、違法移民の子が喧嘩をしてお腹のあたりを負傷し、自分で縫い、薬局に行って買った包帯を巻いて後は寝て直した。なんて話を聞いた事がありますが、低所得者用の支払い免除プログラムなどがあるとはいえ、裕福ではない人達にとって”病院に行く”という行為は僕たちが思っているよりもハードルが高いのです。ましてや、自らの意思に反して救急車に乗せられてER(緊急病等)に運ばれてしまった日にはもうその人達には払えない額が請求されてしまうのです。


万一救急車で運ばれてしまった日には、その人達にとって選択肢は二つに一つ。


払うか、もしくはバッくれるか。


そしてほとんどの人達は後者を選択します。

僕が聞いた話によると、病院は救急で来た人を基本的には断れず、とりあえず治療はしてあげないとならないと法律で決まっているらしいです。(僕も人から聞いた話なので実際の法律がどうなっているかは詳しくありませんが)なので、とりあえず病院は治療します。後から莫大な請求が来るのですが、皆とにかく無視し続けるらしいです。


噂に寄ると、僕の住んでいるFlatbushというエリアに昔病院があったのですが、低所得者や移民が多い地域だったため、あまりにも皆が治療費を払わな過ぎて病院が潰れたという噂も。




さて、話は戻りますが酔っぱらって気持ちよく寝ていたこのおじさんと親切心で救急隊員を呼んだこのご夫婦を見て、このただ酔っぱらって寝てただけのおじさんがERに運ばれない事を祈りました。



そして友達が言ってたのを思い出しました。



「救急車呼ばないで」






じゃ、そういうことで。

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アメリカでのビール事情
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ニューヨーク、ブルックリン在住の音楽プロデューサー/DJのFourd Nkayです!
アメリカでの生活、音楽、ファッション等の情報を発信していきたいと思います。皆さん宜しくお願いします!
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