【アメリカ文化を知ろう!その8】アメリカ大統領選 in 2016

しばらくご無沙汰しておりました!

色々他に書き溜めていたことがあったのですが、皆さんご存知の通り、先週アメリカではとんでもないことが起こってしまいました。

なので、急遽予定を変更して大統領選について話してみようと思います。


アメリカ大統領選 in 2016


(Donald Trump Websiteより)


多くの予想を裏切り、先週火曜日に行われたアメリカ大統領選で共和党候補ドナルド・トランプ氏が民主党候補ヒラリー・クリントン氏を破り、第45代アメリカ大統領に選ばれました。

この日、この結果にアメリカだけでなく世界中が震撼したことでしょう。

私はアメリカでは選挙権がないので周りから見守ることしかできませんでしたが、結果を見て唖然としました。


トランプ勝利のなぜ?

日本や世界でもたくさん報道されていたようなので皆さんご存知でしょうが、トランプ氏の発言は非白人(特にメキシコ系移民)、ムスリム信者、女性に対する蔑視発言が数えきれぬほど多々あり、自身が起こした女性に対するセクハラやレイプに対する訴えがあったり、自分のタックスリターンを公開していなかったり、政治経験がなく、討論しても具体的なプランを明かすこともなし・・・どう誰が贔屓目に見ても、アメリカ大統領になれるようには見えませんでした。


しかし、彼は今回勝利しました。それはなぜなのでしょうか?

それは労働階級層の中高年の白人達がトランプ氏を多く支持したからだと言われています。

彼らが一番心配していたのは、将来への経済的な不安。

成功しているビジネスマンのトランプ氏なら、経験を生かして国の経済を立て直せるのではないかという希望があったようです。

実際、インタビューなどでも「彼の差別的な意見には同意しないが、彼の経済的手腕を信頼しているのでそれには目を瞑る」などと言っているサポーターの意見を耳にしたこともあります。


そして、今までオバマ政権の間ないがしろにされていると感じていた白人の人たち。自分の人種以外を認めたくない、だけど今まであまり大きな声を出せなかった白人(特に高等教育を受けていない人たち)が、トランプ氏の彼らの心に付け入る過激な発言に同意し、支持したのです。



(ニュースより。トランプ支持者の白人至上主義者による破壊行為。)



私個人的には、トランプ氏は作戦でこういった過激な発言を繰り返し毎日メディアに登場して支持を得たのであり、彼の言ったことは全て本心ではないと思っています(実際彼は以前は民主党の支持者でした)。

しかしそれを鵜呑みにしてしまった心無い人たちやその子供達が、今回トランプ氏が勝利したことにより、彼らの差別的な感情を爆発させ、実際にすでに学校でいじめをしたり、暴言や暴力を振るったりする事件が全米で起き始めているようです。


Electoral College vs Popular Vote

あともう一つ、知っておかなければならないのは、このElectoral Collegeという選挙人制度の仕組み。

実は今回、国民の個人票数ではクリントン氏が勝っています。それでも最後に勝利したのはトランプ氏。

それは、この国の大統領はElector(選挙人)の数で決まるからです。




個人票は個人が選んだ大統領に投票する、と宣言している選挙人に入れている票、ということになるんですね。

(詳しく知りたい方は、Wikipediaでどうぞ。)

ややこしいのですが、現在アメリカでは共和党が強く、その状況だと民主党の人の票がうまく反映されない仕組みになってしまっているのです。

これについても昔から議論が行われていて、今回の選挙でさらにこの制度をなくそう、という声が強まっています。


アメリカのこれから

私も移民でアジア人という立場ですので、自分にいつ差別行為などが降りかかるかは分かりません。

そう考えると少し怖いのですが、この状況が長く続かないことを願っています。

トランプ氏が今せねばならないことは、こういった差別的な行動はするべきではない、とハッキリ意思表示することです。

このままでは、世界の平和どころか自国の中での平和が保たれなくなってしまいます。


こんな状況を受け、逆にトランプ反対のデモも全国各地でたくさん起こっているようです。



(ニュースより。反トランプのデモが各地で起こっています。)



起きることには全てに意味があります。

今回この結果がもたらす意味は、今まで隠れていた一部の白人たちの感情をあぶり出すことだったのではないかと思っています。

差別意識の残る彼らの心が今後どうにか癒されて、4年後には新しい気持ちで新しいリーダーを選ぶことができる国になるようになることを願っています。


そのためには私も、嫌悪には嫌悪で返すのではなく、愛と理解を持って対応していきたいと思っています。

あとは、この結果が多くのこれからのアメリカ留学希望者に影響を及ぼさないことを願うのみです!






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2003年に英語と音楽を勉強するため渡米。
ワシントン州シアトル(Shoreline Community College)
アイダホ州ボイシー(Boise State University)
テネシー州メンフィス(The University of Memphis)
での学業を経て、2013年に修士課程修了。

現在はイリノイ州シカゴにて生活しています。

アメリカ留学(とくに音楽留学)、アメリカ生活へのご質問、どんどんお寄せください!
Comments
Total: 2
2016-11-17 12:08:53
政治キャリアが長い人じゃなく、ビジネス経験が長い人が選ばれたことでも社会が何に不満を持ってるか分かるよね。
選挙演説って注目浴びるために過激な発言したりするけど、もう選ばれてしまったものは仕方ないから、彼が国を良い方向に導いてくれるって信じるしかないよね!
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2016-11-17 13:46:22
Edited
大きな組織に操られている政治体制みたいなもの(ブッシュ政権が親子で続いたりだとか、今回はまたクリントンが出たりだとか)に対する嫌気が大きくなっちゃったのが一番の原因かもしれないね。
もうすでに超白人至上主義のひどい思想のおっさんがかなり上のポストに選ばれたりとかして、先行きかなり不安なんだけど・・・。。先が思いやられるよ。
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